2013/11/30

参議院議員のあなたへ

今、参議院議員のあなたに、国民から託された貴重な国会での一票を国民の人権保障のために行使する、その瞬間がやってきました。特定秘密保護法案です。反対票を投じられる事を強く強く望みます。

まず、この法案には、必要性がありません。政府は安全保障のために必要と言いますが、まやかしです。この法案で過去に処罰できた事例を政府は持ち出していますが、それらの事例は、すでに現行法で処断できた事例です。なので、ことさらに、この法案を成立させる必要はありません。この法案の方が重い処罰が適用できると言いますが、重い処罰にしても必ずしも犯罪発生の抑制にはつながらないことは、刑事政策の歴史が教える所です。この法案の必要性を説くには、現行法だけでは足りない旨の論証がなされなければなりませんが、そうした合理的な説明は一切政府から行われていません。

次に、この法案は、あなたの国会議員としての行動を縛ります。あなたが秘密の取扱者に指定された場合、あなたは、あなたを支持している有権者に対しても、ご自身の責任で情報を伝達する事ができなくなります。また、あなたの知らない所で設定された秘密について、あなたが政府に情報公開請求をしても、あなたは何の返答を得る事もできません。それだけでなく、あなたは、未遂犯として処罰される可能性があります。そんな危険性がつきまとうようになれば、あなたが国会議員として政府の情報を得るのは、今後、著しく困難になります。

更に、この法案は、あなたの支持者を暗黒の世界に陥れます。あなたの支持者が、それと知らずに公務員や国立大学の先生に秘密設定された情報を尋ねた場合、未遂犯として処罰される可能性があります。その場合、告発者は、秘密取扱者であり、検察や警察は、秘密の内容を知らされずに、あなたの支持者を逮捕します。逮捕状には、罪名も書かれませんので、あなたの支持者は、防御の術もありません。その状態のままで、あなたの支持者は家宅捜索を受け、あらゆる情報をはぎ取られた上、22日間拘留されます。これは、憲法が国民に保障する適正手続違反です。

もっといえば、この法案は、官僚や政権与党議員の不正を永遠に闇から闇へと葬り去ってしまいます。秘密に設定する事自体が秘密で、何の秘密を設定したかについての第三者チェックも無いからです。現在は、公務員の秘密漏えいを裁く場合の秘密の認定権限は最高裁の判例より裁判所に委ねられています。この法案は、その権限を自ら国家権力を行使する行政府に移してしまうものです。その結果、国民の重大な人権にかかわる官僚等の不正がたやすく闇から闇へと消えて行く事態が生じます。このことは、情報公開性が整っている国から見れば笑い物であり、日本の恥です。また、孫子の代までの日本の恥です。

多くの国民がこの法案に反対しています。パブコメ段階で約9割が反対し、世論調査でも過半数は反対し、各地で反対デモや集会が行われています。新聞も、主要紙だけでも、朝日・毎日・日経・東京が、明確に反対しています。専門家も、日弁連・法学者が反対しています。更には、国連も反対を表明していますし、New York Timesも社説で明確に反対しています。

そして、今、1925年の治安維持法以来の悪法が成立するか否か、その是非が、あなたの一票に委ねられています。

もちろん、党議拘束や、国会内でのあなたの立場があることは承知しております。しかし、今、あなたが勇気を持ってこの悪法の成立に背を向ければ、有権者は、喜んであなたに支持の手を差し伸べるでしょう。私は、多くの国民がこの法案に反対しているその健全性を見るにつけ、国民の、あなたを見る目を信じています。たとえば、衆議院採決の際の数名の退席・反対行動について、もちろん党内では非難があると思いますが、国民から見えているのは勇気ある行動に対する称賛です。

この歴史的な悪法に反対する正しい態度を取った時、あなたは、その勇気ある行動を一生誇る事が出来ます。子子孫孫まで語り継ぐ事ができるでしょう。あなたの勇気あるご決断・一票を何卒、何卒、よろしくお願いします。この法案を阻止する事ができるのは、今、あなたしかいません。

(ご参考) この法律の具体的な弊害は、以下のサイトに詳しいので、ご紹介します。 ▼海渡雄一弁護士の法案解説(http://goo.gl/RSHPLM) ▼清水勉弁護士の法案解説http://goo.gl/EXAklL)