2013/1/19
高野登氏「ホスピタリティ」の講演を聴きました
昨夜は、勤務先の会社が、元リッツ・カールトン日本支社長・高野登氏を講師としてお招きし、「ホスピタリティ」について学びました。とても感動的な講演だったのですが、私が学んだ点は、次の4点です。 ・ホスピタリティの本質は主体性にある ・ホスピタリティの出発点は、経営者のコミットメントである ・ホスピタリティを広めるには、言葉遣いを変えてみるのが有効である ・ホスピタリティの醸成には、環境整備が有効である
以下、具体的に書きます。
・ホスピタリティの本質は主体性にある
高野さんが講演をされるとき、水入りのペットボトルを用意されることが多いそうです。ホテルでの講演の場合、講演が始まる前には、講師の待機席があり、机上にはペットボトルが置いてあり、高野さんの後ろには、ホテルマンが1人付きます。
リッツ・カールトンのホテルマンの場合、その状況であれば、講師に対して「お水をコップに注ぎますか?それとも、ペットボトルはそのままでよろしいですか?」と聞くようにトレーニングされています。講演の途中、わざわざペットボトルの蓋を開けるのを手間と思う人にはコップに注いである方が便利です。他方、自分でペットボトルを開けるのでなければ気が済まない人もいます。その辺りのお客様の好みを気遣っての立ち居振る舞いです。
しかしながら、同じホテルマンでも、こうした立ち居振る舞いが出来る人は、非常に少ないそうです。
ここで気をつけなければいけないのは、たまりかねた講師に「ペットボトルにお水を注いで貰えますか?」と言われてお水を注いだ場合、もうそれは「ホスピタリティ」では無くなってしまうということです。たとえば、マニュアルでそのような配慮を定めた場合も、それは、もうホスピタリティでは無くなってしまいます。それは、ホスピタリティではなくて、サービスです。
このように、お客様のご要望に気付いて「主体的」に行動するのがホスピタリティであり、そこに、ホスピタリティの本質があります。
・ホスピタリティの出発点は、経営者のコミットメントである
社員に動いてもらう時、規則やマニュアルでコントロールしてしまえば、経営は楽です。しかし、そうしたコントロールは、社員の主体性を奪ってしまい、決してホスピタリティを産み出しません。
ホスピタリティを会社で広めるならば、まずは、その重要性・素晴らしさを経営者が社員に語りかけた上で、社員の主体性を最大限に尊重するよう腹を括ることが重要です。「コントロール」は、それを利用するのも利用されるのも、考えなくて使えてしまうので、楽です。なので、経営者の後ろ盾がある事を信じる気持が無ければ、どうしても、「楽」な「コントロール」の方に流れてしまいます。
・ホスピタリティを広めるには、言葉遣いを変えてみるのが有効である
職場では、意外にホスピタリティを阻害する言葉があふれています。それらを変えてみることは、ホスピタリティを広める上で有効です。
たとえば、「お客様のために」という言葉は、ホスピタリティを阻害します。「これだけお客様のためにやっているので、何故、お客様に通じないんだ?」というニュアンスで使われてしまうからです。上から目線の発想です。
そこで、リッツ・カールトンでは、「お客様の立場」という言葉に置き換えるようにしたそうです。この言葉を使うようにすれば、自然にお客様目線に立てるようになります。
また、たとえば、社員を「使う」という言葉も社員の主体性を阻害し、ホスピタリティを喪失させます。そうではなくて、社員を「活かす」という言葉遣いに変えれば発想自体も変わってきます。
このように、言葉遣いは、発想自体を変えてしまう力を持っています。
・ホスピタリティの醸成には、環境整備が有効である
「人」のコントロールは、ホスピタリティを阻害します。しかし、社員の主体性を高めるための環境整備は、ホスピタリティの醸成に役立ちます。
たとえば、あるメーカーでは、社員が主体的に勤務開始時間の1時間前から出社して掃除しているそうです。掃除自体は、規則で定めれば誰でも行うことです。しかし、この会社では、社員が主体的に生き生きと掃除をしています。その裏には、会社による環境整備があります。皆が掃除できるように、会社が掃除道具を全員分揃えています。そして、その掃除道具は、会社だけでは無くて家に持って帰って使っても良い事になっています。その掃除道具は、貸出・返却の帳簿管理等はせずに、一切、社員の主体性に委ねて置いてあります。そこまで社員を信頼して環境整備を行えば、家で使われた掃除道具は、貸出前より綺麗になって会社に戻って来るようになるそうです。