2012/2/29
憲法の基礎②「正義の意味」
「法」の定義は、なんでしょうか。
社会には、様々なルール(規範)があります。宗教、倫理、道徳、慣習・・・等々。そうした規範の中で、「法」とは、「正義の実現を目的とする社会規範」を指します。
では、「正義」とは何でしょうか。
私が大学(法学部)に入って最初の「法学」の講義のテーマが、この「正義」の定義でした。古来、正義は、様々な形態を取ってきました。力、徳、数、自由、等々。講義では、正義の歴史を90分にわたってひもとき、「結局、正義というのは、何が正しいのか、よく分からないのですよね。」と言って終わりました。それまで法と言えば、何か正しい解答があるものと思っていたのですが、実は答えのない世界であるという事を最初に突き付けられた瞬間でした。
しかし、実は、憲法が求める正義の内容は明確です。それは、13条に定める「個人の尊厳」すなわち「人権尊重」です。人権尊重こそが憲法の定める正義です。憲法は、そのすべての条文が、人権尊重という正義を擁護するために規定されています。人権保障を明確にするために、様々な人権の類型を規定すると共に、人権を擁護するための国家機関のあり方を定めています。
そして、憲法は、日本におけるすべての法律、命令等を拘束する最高法規です(98条)。ということは、日本におけるすべての法令は、憲法が定める正義、すなわち、人権保障のために存在している、ということになります。
facebook上の議論の中で、行き過ぎた検察の暴走を止めるべきという話題が取り上げられたことがありました。その中で、裁判官や検察官は、単に法律に定められた手続を形式的に遂行する職責のみを負わせるべきで、彼らを外部から抑制する仕組みこそが必要とする意見がありました。この意見は、明らかに誤りです。
裁判官は、独立機関としてその良心に従って職権を行いますが、憲法に拘束されます(76条3項)。また、検察官は、公益の代表者として職責を遂行することを義務付けられており(検察庁法4条)、やはり、公益の根本を定める憲法に拘束されます。したがって、裁判官も検察官も、いずれも、人権擁護を図ることをその使命としています。
人権保障を義務付けられているのは、裁判官、検察官に留まらず、国家権力の担い手である公務員は、すべて憲法擁護義務を負っています(99条)。
国民には憲法擁護義務はありませんが、国家権力そのものである公務員はこの義務を負っており、人権擁護義務を負っていること、このことは基本的なファクトとして押さえておくことが必要です。