2008/3/15
日銀総裁人事
自民党が優勢な衆議院で可決した日銀総裁候補を民主党が優勢な参議院で否決したことで、国会が揺れています。元総裁の任期が3月19日と迫る中、次期総裁が決まらないと総裁の空席期間が生じてしまうことに対して危機感が募っています。
一連の日銀総裁人事への対応の是非をめぐっては、次の論点に整理できます。
1.法律の妥当性 1-1:二院制の是非 →一院制なら両院不一致の事態は起こらない 1ー2:日銀総裁選出法(日銀法23条)の妥当性 →両院の議決を要しない定めなら混乱は生じなかった 2.運用の妥当性 2-1:民主党の態度の是非 →国政の混乱を避けるためには否決は不穏当 2-2:内閣・自民党の手続遂行 →参議院否決のリスクを織り込んだ根回しがなかった 3.人事の実質的妥当性 →誰もが反対しない資質を備えた候補ではなかった
以上の論点のうち、ほとんどのマスコミ(大手新聞各社)は、衆議院で可決した後、民主党が参議院で否決したことを非難しました。理由は、最大野党である民主党が、国政運営に支障をきたす恐れの高い判断を示したというものです。いわく、政治からの独立性を基盤とする日銀総裁人事を「政争の具」にしたというのです。
ただ、法律の妥当性や人事の実質的妥当性を前提にして、論点を「運用の妥当性」に絞るとしても、実は、民主党だけでなく、自民党の手続遂行のまずさも、今回の混乱の一要因です。つまり、参議院の否決があり得るのだから、事前に民主党と十分なすり合せを行っておくべきだったということです。
そもそも、民主党は野党です。与党の姿勢をチェックし、不当な考え方に対しては反対するのが当然の立場にいます。その意味では、国政への影響云々の前に、不当と思ったことに対しては正々堂々と反対するのが基本的存在価値です。
これに対して、自民党は政権運営を担当する与党です。国政への影響に責任を持つのは、基本的には与党・自民党です。
このように考えると、まずは、自民党の手続遂行のまずさを非難するのが先決です。
にもかかわらず、マスコミが民主党を非難するのはなぜか。 1つは、自民党に擦り寄った見解を出しているというものです。 もう1つ考えられるのは、目先の表面的な事柄に目を奪われているというものです。人事の混乱の直接の原因は参議院での否決ですから、そこだけにフォーカスしてしまったということです。
いずれにせよ、マスコミには、様々な立場から、高い視点に立って物を申して欲しいです。