2008/2/25
格差是正労働政策の2つの論点
3月1日施行の改正パートタイム労働法や派遣労働法の改正は、いずれも、低賃金に喘ぐ非正規雇用労働者保護を眼目としています。 また、同時に施行される労働契約法も、組合の組織力が低下する中、個人労働者の民事訴訟上の法的地位を明確にし、弱い立場の個人労働者保護を目的とするものです。
このように、近時の労働法改正は、格差是正が1つのテーマになっています。
私は、「格差是正」を言うとき、実は、2つの論点が潜んでいると見ています。
1つは、文字通りの「格差是正」で、賃金・労働条件の面で弱い立場にある労働者の地位向上を図る、という意味です。
しかし、それに留まらず、2つ目に、「法律関係を明確にする」ということがあります。
たとえば、これまで、パートタイマーは、実質的に正社員と同じ働き方をしているにも拘らず、雇用した時点でパートタイマーとして雇われた、という一事を以って、低い賃金・労働条件に甘んじてきました。会社は、「同一労働同一賃金」の原則に反し、何となく曖昧にパートタイマーの処遇水準を抑えてコスト抑制を図ってきました。 その背景には、正社員のみを支えてきた労働組合の存在や、税金・社会保険料の過重負担を逃れるため賃金額を抑制して欲しい主婦の要望もありました。
しかし、労働組合は、正社員の組織率の低下により、非正規社員を組合員に取り込まざるを得なくなりました。 また、社会的にも、コンプライアンス重視等、曖昧さを許さず、明確な基準による処遇が望まれる風潮が高まってきました。
そうした「法律関係を明確にすべき」との流れが、いわれのない契約時の雇用形態だけで低い処遇を受けている者の地位向上を図るべきとの世論につながっているのだと思います。
この「法律関係を明確にすべき」との観点からの格差是正の論調は、どうも崩れそうもないような印象を受けます。というのは、近時、コンプライアンスやコーポレート・ガバナンス、個人情報保護等、何でも基準を明確化・透明化しようという世論の大きな流れを感じるからです。 ですから、たとえば、パートタイマーの職務内容を明確にしていくような動きは、今後、加速していくように思います。
しかし、実際に較差を是正していく大きなうねりに高まってはいかないように思います。 というのは、今や、定型的な労働業務は、安い賃金で働ける中国やベトナム等に取って代わられ、日本には、賃金の高い知的生産を誇る仕事か、年収300万円台くらいの業務しか残っていかないと考えられ、そうすると、格差拡大は、小泉改革による一時的なものではなく、時代の潮流と考えられるからです。
いずれにしても、改正法の施行後の実際の法の適用場面を注意深く見守って行きたいと思います。