2008/2/19

象の背中(ネタバレ)

役所広司主演映画、「象の背中」を見ました。

部長の働き盛りで大学生の息子・高校生の娘を持っている状況で、肺ガンにより余命6カ月を宣告されるという筋書きです。

脚本も役者もしっかりしていて、観ていて何の違和感もなく感情移入できる佳作だと思います。

しかし、感情的に、どうしても許容できない箇所がありました。 妻に隠した不倫相手と振り切れず、家族と共に終の場所として過ごしたホスピスに不倫相手の彼女を呼んだことです。妻は、彼女が不倫相手だと見抜いていて、わざと席を空けたりして気を利かせていました。

私には、そこまで配慮が行き届いた妻に対して、自分の勝手な思いだけで不倫相手に未練を残してしまう主人公が許せませんでした。妻がどれだけ心に傷を受けているか・・・主人公が亡くなった後も、引きずるかも知れません。

私も、もし結婚前にこの映画を観たら、悪感情を当事者意識と共に持つことはなかったかも知れません。 しかし、結婚して、実際の自分の妻を映画の妻に重ね合わせると、どうにも妻が可哀相でやり切れない気持ちになりました。

もしかすると、数十年後に、もう一度この映画を観るときには、心が枯れ木のようになっていて、受け入れることができるのかも知れませんが、今は、ムリでした・・・

もちろん、この映画は、その辺りの感情のやるせなさを役者の表情や情景描写で描き切っている、という点で見事です。この見事さがなければ、悪感情を抱く感情移入もできませんでした。この映画は、自分の価値観を考える切っ掛けを与えてくれました。